親知らず

親知らずをみなさんはどうされていますか。
すでに抜いた方、生えたままの方、たまに親知らずが痛くなる方と様々にいると思います。
親知らずが原因で生じてくるトラブルは多く見受けられます。
今回はその「親知らずのトラブル」について説明していきます。

親知らずってなんで親知らずって言うの?

諸説はありますが、以下のような由来があります。
親知らずが生える前に実の親が亡くなってしまうことが多かった
親知らずは生えて来るのが最も遅い歯になります。
10代後半〜20代前半に生えてくることが多いため、昔の平均寿命が短かった時代は親が生えてくることを確認出来ずに亡くなってしまうことがあるとのことから名付けられたようです。

生え変わる変わりの歯がない
親知らずの歯の上には乳歯はありません。
そのため乳歯を親に見立てた場合に、他の歯と違って乳歯と生え変わる時に出会うことがないから、という話もあるようです。
でもこの説だと親知らず以外の大臼歯も当てはまってしまいますね。

親知らずの生え方

親知らずの生え方親知らずの生え方には大きく3パターン程あります。
真っ直ぐ生えているパターン
頭が一部露出し、斜めに生えて手前の歯にぶつかるパターン(半埋伏:はんまいふく)
全く見えず骨の中に埋まっているパターン(完全埋伏:かんぜんまいふく)

①の真っ直ぐ生えているパターンは日本人には少ない傾向にあります。
これは食生活が欧米化し、柔らかい物を食べることが多くなったことで顎の成長が弱まり、親知らずの生えるスペースが狭いことが要因となります。

②の半埋伏や③の完全埋伏のパターンが現代の日本人には多い傾向です。
ただしこのパターンは炎症や虫歯などのトラブルを抱えやすく、また矯正治療などでスペース確保のために便宜的に抜歯となることが多くなります。

親知らずが招く8つのトラブル

親知らずが原因で起こるトラブル8つを紹介します。

歯肉が腫れる

歯肉が腫れる親知らずが半埋伏であった場合、汚れがたまりやすくなります。
もともと手前の歯と段差もあるため、歯磨きが行いにくい状態にあります。
歯が一部露出していると歯茎との間に隙間もあるため、そこに汚れが侵入して炎症を起こすという仕組みです。
歯茎の中に潜った汚れは歯ブラシでは落としきれませんから、衛生的に良くない状態です。

汚れ(プラーク)がたまりやすくなる

プラークが溜まりやすくなる①にもありましたが、歯は高さが不揃いになると汚れが溜まりやすくなります。
手前の歯に当たるように生えていた場合は尚更です。
きれいに真っ直ぐ生えていたとしても、一番奥の歯になるとどうしても磨き残しが多くなるものです。

親知らずが虫歯になる

親知らずが虫歯になる汚れが残った結果、親知らずが虫歯になるリスクが高まります。
こうなってしまった場合、もちろん虫歯治療が第一にありますが、生えている方向や虫歯の大きさ、さらには治療の困難さなどを加味して抜歯となることがあります。

親知らずの手前の歯が虫歯になる

親知らずの手前が虫歯になる最も嫌なパターンがこれです。
汚れが溜まる→親知らずが虫歯になる→手前の歯も虫歯になる
この負の連鎖が続く前に出来れば治療をしておきたかったところですが、それに気づかずになってしまうことも多々あります。
親知らずが虫歯になってしまったことより手前の歯が虫歯になっていることが大きな問題で、このケースも親知らずが斜めに生えて手前の歯とぶつかっている場合に多く起きやすいトラブルになります。
このケースでは汚れが歯茎付近に溜まっているために、虫歯は歯根に繋がってしまっていることがあります。
虫歯治療で治した場合の詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)は基本的に歯茎の上の部分に位置づけします。
歯茎の中では常に唾液や血液や滲出液といった液体に曝されてしまい、治療の精度や予後に大きく影響を及ぼしてしまいます。

歯周病になる

歯周病になる歯周病というのは歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かす病気です。
汚れが溜まったところから歯周病菌が活動的になり、骨を溶かしてしまいます。
これにより、支えを失った歯では歯茎の引き締まりが悪くなり汚れもたまりやすくなります。
弱くなった歯は、通常では動じないような、ちょっとした刺激などでもすぐダメになってしまうのです。
下の歯茎を噛んでしまう
上の歯が伸び、下の歯ぐきを噛む親知らずが上だけにあった場合に起こりうるトラブルです。
歯は孤立しているとスペースに動いてきます。
上の親知らずの場合、下に噛み合う歯がなかった場合に下に降りて来ることがあるのです。
すると、下の歯茎やほっぺたなどにぶつかってしまい、これが傷となって痛みを起こすことがあります。
下の歯に当たって骨の吸収が始まる
下の歯に当たって骨の吸収が始まる目に見えない力というのもトラブルを起こしやすくします。
上の親知らずが下に噛み合う親知らずがなかった場合に降りて来ることがあります。
それにより、下の歯の奥歯と一部接触することもあります。
噛み当った下の歯には元々噛み合っていた歯に加えて親知らずの噛む力も加わることになるため過重負担となります。
歯を溶かす原因である歯周病は、過度な力がかかった場合にも起こりやすく、歯とそれを支える骨には耐えられる力の限界があるのです。

歯が前に倒され、歯並びが悪くなる
歯が前に倒され、歯並びが悪くなるこれもよくあるトラブルです。
親知らずが手前の歯にぶつかるように存在していた場合、親知らずが生えてくる年代の頃には頭を向いた方向に力がかかります。
そうすることで、手前の歯にドミノ連鎖のように力が加わり、結果細くて小さな前歯にその力が大きく反映されて歯が動いて歯並びが悪くなってしまうのです。