歯並び・噛み合わせ

【歯並び・かみ合わせとこころの関係】

デコボコの歯並びだったり、かみ合わせが反対だったりすると、気になって口を押さえてしゃべったり笑ったりする方がいらっしゃいます。
私たちの所に治療に訪れる方の大半は、このように歯並びやかみ合わせが悪いことを気にされている方です。
同じような歯並びの方で、その状態をまったく気にされない方もおられることから、矯正治療はひとりひとりの気持ちと深く関係していると医療といえるでしょう。

勇気を出して矯正治療を行なうことで、気にされていた歯並びやかみ合わせがきれいになることはもちろんですし、前歯が出ていたりかみ合わせが逆だったりする場合は矯正治療により口元やプロファイル(横から見た顔だち)も美しくなります。矯正治療は歯並びだけを改善するものと思われがちですが、特に前歯を動かすことで、口元の状態にも影響をもたらすのです。

歯並び・かみ合わせと発音・飲み込みとの関係】

上下の前歯がかみ合っていなかったり、かみ合わせが逆だったりすると、特定の音が発音しにくいことがあります。また、飲込みがうまく出来ず、飲み込む時に舌が上下の歯の間に出て来てしまう方の場合、かみ合わせに問題が生じることが多いです。

このように、歯並びやかみ合わせの異常は、咀嚼だけでなく発音や飲み込みといったお口の機能とも大きく関わっています。

【歯並び・かみ合わせと顎関節症】

歯並びやかみ合わせが悪いと顎の関節が悪くなり口が開けにくくなるというお話しを耳にされたことはありませんか。

口が開けづらくなったり、肩や首がこるなどの症状がでる病気は顎関節症と呼ばれています。
この病気は、たくさんの原因が重なりあって生じる、多因子性疾患だと考えられています。
その主な原因として、1.かみ合わせの異常、2.生まれ持った顎や顔のゆがみ・顎の関節(下顎頭)の成長不全、3.歯ぎしり・くいしばり等の癖、4.精神的なストレスの4つがあげられています。 つまり、この4つの原因が日常生活の中で重なって生じると顎関節症になる場合があるわけです。

ですから、かみ合わせに問題がある人でも、歯ぎしりやストレスのない生活を送っている場合は、顎関節症にならないことが多いですし、逆に顎関節症の人のかみ合わせを矯正治療で治しても、歯ぎしりやストレスがなくならなければ顎関節症は治らないこともあるのです。

従って、歯並びやかみ合わせの悪い方が、顎関節症の予防のためだけに矯正治療をする必要はありませんが、矯正治療で歯並びを良くすることが、結果として顎関節症になりにくくする効果はあると思われます。

【歯並び・かみ合わせと全身との関係】

歯並びやかみ合わせが悪いと、体が歪んだり、視力が低下したり、小児喘息になるなどと、さまざまな全身への悪影響がホームページなどに出ています。しかし、これらの中で歯並びやかみ合わせとの関連性がハッキリと科学的に証明されていることは一つもないと言っていいでしょう。

同 じ人間の体の中で複数の症状が発生すれば、それらに何らかの関連があっても不思議ではありませんが、それらの一つ一つがどのようなシステムで成り立っているのか、また優劣はどうなのかは分かっていません。
単に矯正治療をすればそれらの問題が解決するというように、人間の体のシステムは単純ではないのです。
噂に惑わされることなく、もし不安なことがあるようでしたら、お近くの専門医にご相談下さい。